事業系ゴミ回収

事業系ゴミは自治体で回収してもらえる？

事業系ゴミは、自治体のゴミ収集車で回収してもらえるのでしょうか？ その答えは、事業系ゴミの「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」によって、自治体の扱いが異なってきます。 まずは、「事業系一般廃棄物」の取り扱いについて解説し、次に「産業廃棄物」について見ていきましょう。

一部自治体は「事業系一般廃棄物」を収集

事業系一般廃棄物は、基本的に処理施設へ自己搬入するか、一般廃棄物収集運搬業の許可業者に依頼して回収してもらいます。 処理施設へ自己搬入する場合は、100円〜200円/10kgほどの処理手数料が発生。許可業者に依頼する場合は、処理手数料に加えて収集運搬料金などが加算されます。 ただし、一部自治体では収集手続きをすることで、家庭ゴミのように事業系一般廃棄物を収集する自治体も存在します。 例えば、東京都あきる野市では、市のルールで排出できる場合に限って事業系一般廃棄物も収集しているのです。「一回に出せる量は大小にかかわらず10袋まで」などの制限はありますが、処理施設まで搬入する手間がかかりません。 このように「事業系一般廃棄物」の取り扱いは自治体によって異なるので、一度自治体のホームページを確認してみてください。

産業廃棄物は自治体で収集できない

産業廃棄物はどの自治体でも、家庭ゴミのように収集されることはありません。 産業廃棄物を処分する場合は、処理施設へ自己搬入するか、産業廃棄物収集運搬業の許可業者に回収を依頼します。 事業系一般廃棄物とは異なり、”一般廃棄物”ではなく”産業廃棄物”の許可業者という点にご注意ください。

産業廃棄物の処理にはマニフェストが必須

産業廃棄物を処理業者へ委託する場合、マニフェストの発行が義務付けられています。 ※マニフェスト：産業廃棄物の流れを把握するための伝票 通常は、産業廃棄物の排出業者がマニフェストを発行しますが、マニフェスト発行や管理が面倒だったり難しいと感じる業者が少なくありません。 最近では、マニフェストの発行や管理を代行する収集運搬業者が多くなっているので、マニフェストに関する知識がない場合も心配無用です。

業者による事業系ゴミの回収方法

事業系ゴミを処理施設へ運搬する手間や、マニフェストの発行・管理の手間を考えると、事業系ゴミの回収を業者に依頼するメリットは大きいと言えます。 また、事業系ゴミの回収方法は、大きく以下の3つに分けられるので、ゴミの発生量によって回収のタイミングを調整できるメリットもあります。

1. 毎日回収
2. 定期回収
3. 臨時回収

それでは、上記の回収方法の内容と、どのような業種に最適なのかを見ていきましょう。

毎日回収

毎日回収は、その言葉通りに事業系ゴミを毎日回収します。 飲食店や病院など、ほぼ毎日事業系ゴミが発生する業種におすすめの回収方法です。

定期回収

定期回収では、希望の曜日・頻度で事業系ゴミを回収します。 製造工場や家電量販店など、一定量のゴミが発生する業種におすすめです。

臨時回収

定期的にではなく、事業系ゴミが発生するタイミングで回収します。 工事現場や建物の解体など、一時的に大量の事業系ゴミが発生するケースにおすすめです。

事業系ゴミの処分料金について

業者に事業系ゴミを回収してもらう場合、「処理料金」と「収集運搬料金」が発生します。 「処理料金」は事業系ゴミの処理にかかる料金で、kgあたり、もしくは㎥あたりで算出されることが多いです。 「収集運搬料金」は事業系ゴミを処理施設まで運搬する料金で、運搬するトラックの種類によって料金が変わります。

事業系ゴミの処理料金の相場

事業系一般廃棄物と産業廃棄物（20種類）の処理料金の相場を表にまとめました。

事業系ゴミの種類	処理料金 1kgあたり	処理料金 1㎥あたり
事業系一般廃棄物	10円〜40円	-
燃え殻	50円〜80円	13,000円〜30,000円
汚泥	20円〜50円	-
廃油	5円〜50円	-
廃酸	30円〜100円	-
廃アルカリ	40円〜100円	-
廃プラスチック類	30円〜70円	4,000円〜20,000円
ゴムくず	40円〜80円	5,000円〜16,000円
金属くず	5円〜40円	0円〜3,000円
ガラス・陶器 コンクリートくず	30円〜80円	10,000円〜35,000円
鉱さい	30円〜80円	10,000円〜20,000円
がれき類	30円〜80円	10,000円〜20,000円
ばいじん	50円〜100円	20,000円〜30,000円
紙くず	20円〜60円	2,000円〜6,000円
木くず	10円〜50円	4,000円〜6,000円
繊維くず	20円〜60円	3,000円〜8,000円
動植物性残さ	20円〜60円	3,000円〜13,000円
動物系固形不要物	40円〜80円	3,000円〜13,000円
動物のふん尿	30円〜80円	3,000円〜13,000円
動物の死体	70円〜90円	5,000円〜15,000円
13号廃棄物 コンクリート固化した 廃棄物など※	8円〜20円もしくは 処理前の廃棄物に該当する単価	要見積もり

※産業廃棄物を処理するために処理したもので、上記産業廃棄物に該当しないもの

事業系ゴミの収集運搬料金の相場

次に、トラックの種類ごとの収集運搬料金相場を表にまとめました。

トラックの種類	収集運搬料金
2t平ボディー	18000円〜
2tコンテナ車	20,000円〜
4t平ボディー	24,000円〜
4tコンテナ車	22,000円〜
4tバッカー車	27,000円〜
コンテナ初回設置料金	10,000円〜20,000円

上記料金のほかに、出張費や人件費が発生する場合もございます。

料金表を掲載していない業者が多い

事業系ゴミの処分にかかる料金相場をお伝えしましたが、実際にはホームページに料金表を掲載していない業者が多くあります。 これは、実際に事業系ゴミの種類や量を業者の目で確認しなければ料金の算出が難しいので、仕方がないことだと言えるでしょう。 特に、紙くずや廃プラなどが混ざっている混合廃棄物の場合は、業者によって料金の差が大きいので見積もりが必須になります。 見積もりを無料で実施している業者がほとんどなので、気軽に問い合わせてみてください。

事業系ゴミの回収業者を選ぶときの注意点3つ

産業廃棄物の処理や収集運搬には、様々な細かいルールが定められています。 そして事業系ゴミの回収業者を選ぶ際にも、ルールを守るように業者を選ばなければいけません。 ここでは、業者を選ぶ際に、最低限注意するべき点を以下の3つにまとめました。

1. 産業廃棄物収集運搬業の許可を受けているか
2. 処分したいゴミの品目を取り扱っているか
3. マニフェストの発行が可能か

産業廃棄物収集運搬業の許可を受けているか

事業所や店舗、工事現場から産業廃棄物を回収するには、「産業廃棄物収集運搬業」という許可を受ける必要があります。 もし、「産業廃棄物収集運搬業」の許可を持たない業者に回収を依頼した場合、ゴミの排出業者・回収業者ともに罰せられる可能性があるのでご注意ください。 また、「産業廃棄物収集運搬業」の許可は、積み込み・積み下ろし場所の都道府県の許可を持っている必要があります。例えば、東京都の「産業廃棄物収集運搬業」の許可だけを受けている業者が、神奈川県内で発生した産業廃棄物を回収することはできません。

処分したいゴミの品目を取り扱っている

産業廃棄物は20種類に分類されますが、すべての業者が20種類の産業廃棄物を取り扱っているわけではありません。 業者ごとに取り扱っている産業廃棄物の種類が異なるので、業者のホームページでご確認ください。 産業廃棄物収集運搬業の許可を取得していても、業者が許可された種類以外のゴミを取り扱うと無許可営業になり、廃掃法という法律に違反します。 業者を選ぶ際は、「産業廃棄物収集運搬業の許可を受けている」かつ「許可品目を取り扱っている」業者を選ぶようにしましょう。

マニフェストの発行が可能か

先ほども述べましたが、産業廃棄物を処理業者へ委託する場合、マニフェストの発行が義務付けられています。 通常は、産業廃棄物の排出業者がマニフェストを発行しますが、マニフェスト発行を代行する業者もあります。 もし、自社でマニフェストの発行が難しい場合は、マニフェスト発行を代行している業者を選びましょう。 また、マニフェストには「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」があります。 「紙マニフェスト」はコストが安く済みますが、5年間の保存義務や1年分の報告義務があります。 「電子マニフェスト」は導入コストなどかかりますが、情報の保存や報告は自動的に行われるので手間がかかりません。 各マニフェストのメリット・デメリットを考慮して選んでみてください。