本記事では若者によるセルフネグレクトとゴミ屋敷の関係性、これらが起こる原因について解説しています。
セルフネグレクトは住宅をゴミ屋敷化してしまう原因のひとつとされています。
ご家族のゴミ屋敷問題のほか、自身の片付けられない悩み解決の糸口として参考にして下さい。
セルフネグレクトとは?
セルフネグレクトとは「自己放任」や「自己放棄」と訳される状態や行為を指す言葉です。
本来セルフケアができるはずの個人が、衣服や食事、生活面などにおいてセルフケアを十分に行えない状態のことをいいます。
セルフネグレクトには法的な定義やガイドラインはありませんが、おおむね以下のように定義されています。
健康、生命および社会生活の維持に必要な個人衛生、住環境の衛生もしくは整備、または健康行動を放任・放棄していること
引用:高齢者のセルフ・ネグレクトの理論的な概念と実証研究の課題に関する考察
具体的には以下のようなケースが「セルフネグレクト」に該当します。
- 不衛生な住環境(ゴミ屋敷、動物の多頭飼い、害虫や害獣)
- 身だしなみや身体の衛生に気を遣わない(不衛生でも気にしない)
- 十分な食事をとらず柄異常状態が悪くなる
- 周囲から見て奇異な行動や生活をする(周囲の目を気にしない)
- 社会や地域から孤立する(引きこもり、近隣との交流を断つ)
- 生命を脅かす治療やケアをせず放置する(病院にかからない)
- 不適当な金銭・財産管理(お金の管理ができない)
身体的なケアを怠るなど身だしなみを整えない、悪臭がしても入浴や洗顔をしないなどの特徴が多く見られます。
また疾患がある状態でも治療をせず服薬もしないなど、生命を脅かす状況でも必要な行動をとらないことも。
福祉や介護保険など公的なサービスがある場合でも、それらのサービスを拒み、申請をしない・遠慮するといった傾向にもあります。
若者のセルフネグレクトも増えてきている
これまでセルフネグレクトというと、「一人くらしの高齢者」がその対象として注視されてきました。
経済的な困窮や認知症などがもとで、介護や医療サービスなどの支援を遠ざけ、社会から孤立しやすいことなどが理由です。
しかし近年では、30代以下の若者によるセルフネグレクトの存在も知られるようになってきました。
若年層のセルフネグレクトでは、ゴミ屋敷や身なりを構わないなど高齢者と同様の状況に加え、以下のような特徴が突出している傾向にあることもわかっています。
- 無力感やあきらめ、なげやりな様子が見られる
- 倦怠感や疲労感が強い
- 仕事が長続きせず、年単位で仕事をしていないケースも多い
- 問題行動を指摘されると正当化した理由を主張する
- こだわりが強く会話がかみ合わないことがたびたびある
※参考:浦安市セルフ・ネグレクト対策に関する調査分析|報告書
高齢者のセルフネグレクトでは、世間や公的サービスに対して気兼ねする様子が見られる一方、若年層の場合は他人から否定や拒絶されることを極端に恐れる様子が見られると傾向にあるといいます。
高齢者とは違い国や自治体で調査を行うことも少なく、自らSOSを発することもほとんどありません。
その結果、セルフネグレクトの問題を抱えていても、誰にも気づかれずにいる人も多いのが現状です。
経済的困窮や精神的な問題なども絡み、自死を選択してしまう人も増えています。
若者のセルフネグレクトとゴミ屋敷との関係
ゴミ屋敷とセルフネグレクトは、切っても切れない関係にあります。
自分への関心や意欲をなくすことにより、部屋の片付けをしない、ゴミを捨てない、物をため込むなどの行動につながるためです。
害虫や小動物が住み着いても意に介さず、犬猫の多頭飼いにより糞尿が部屋中に広がっても掃除を行わないといった行動も珍しくはありません。
社会的孤立により、ゴミ屋敷の状況が悪化してしまう場合もあるのです。
人との交流や関わりも避ける傾向にあるため、ゴミ屋敷化しても周囲に気づいてもらえないことも。
全体的な数でみると高齢者の方がまだまだ多いですが、若者のセルフネグレクトやゴミ屋敷問題も同様に増えつつあります。
ただし若者によるセルフネグレクトが原因のゴミ屋敷の場合、高齢者のケースとは多少異なる問題もあります。
- 近所づきあいが元からなく周囲により知られにくい
- プライドやコミュニケーション難からSOSを発せない
- オンライン環境の充実により外部とのかかわりやより希薄
- ストレスの発散方法がわからない・限られている
このように若者の場合、周囲とのかかわりが非常に少なく、セルフネグレクトに拍車がかかるのを止めてくれる環境にないことが多いのが特徴です。
コミュニティもオンラインで完結していることが多く、「最近様子がおかしいのでは?」と気づいてくれる人や、「あの人どうしてるんだろう」と足を運んでくれる人も身近にいない状況下にあるのです。
高齢者の場合、自治体や国の地域包括支援センターの調査や活動により、生活状況の把握などがなされることもあります。
ですが若者の場合こうした調査の枠に含まれていないため、自分から声を上げなければ、必要なケアや支援を受けることができないのです。
若者のセルフネグレクトの原因は?
若者のセルフネグレクトによる問題を解決するには、まずなぜそのような状況になってしまうのか原因を知ることが大切です。
セルフネグレクトは年齢を問わず、状況や原因に個人差があります。
必ずしもすべてが当てはまるというわけではないため、話し合いなどをする際は相手に対して十分な配慮が必要です。
ここでは若者のセルフネグレクトの原因となる項目をいくつか紹介します。
家庭環境による影響
幼少期に受けた虐待や家庭の問題などが起因し、大人になってからセルフネグレクトを引き起こすケースは多数報告されています。
子どもの頃の経験や過度なプレッシャーから、自己肯定感の極端な低下や自己否定などを起こすことも。
また育った環境が原因で、潜在的に「幸せになってはいけない」と思い、人並みの生活を「贅沢=よくないこと」と感じてしまう人もいるのです。
こうした背景から次第に自分を大切に思えなくなり、結果としてセルフネグレクトを引き起こしてしむあこともあります。
心理的な問題や精神疾患によるもの
過度なストレスやプレッシャー、不安などに襲われることでうつ病や心身症などを発症し、セルフネグレクトを引き起こしてしまうこともあります。
こうした精神疾患が、無気力や強い不安感、身体的な不調につながることも。
心身の不調が続くと、身の回りに気が回らなくなり、人との接触も避けるような生活になってしまうこともあるのです。
経済的な問題
失業などによる貧困など、経済的に不安定な状態を繰り返すことにより、セルフネグレクトを引き起こすこともあります。
最初は節約のつもりが、次第に健康や栄養に気が回らなくなることも。
虫歯や体の不調があっても、お金がかかるからと病院にかからず、適切な治療を受けない人もいます。
こうした状況が続くと、次第に適切な判断ができなくなってしまうこともあるのです。
教育の不足や知識の不足など
健康やケアに関する教育が十分でないために、自身のニーズに対して十分なケアができない人もいます。
とても極端な話ですが、洗濯の仕方がわからない、片付け方がわからないなどがその例です。
このような場合、自身で調べたり人に聞いたりすることで問題解決が図れますが、そうしたことに意識が向かない人もいます。
行政ではさまざまな悩みや問題に対応できるようなサービスや支援、サポートがあります。
しかし知識不足により、こうした行政サービスの存在を知らない人もたくさんいます。
なかには人とのコミュニケーションに対する不安感やプライドの高さから、相談したくても相談できないという人もいるのです。
セルフネグレクトによるゴミ屋敷問題解決策
セルフネグレクトが元でのゴミ屋敷は、片付ければそれで解決というわけにいきません。
根本的な原因や現状を把握しなければ、ゴミ屋敷を片付けても本人の生活は改善しないのです。
まずは本人や周囲の人が現状を理解することが重要です。
ただしセルフネグレクトに陥っている本人に対し、いくらゴミ屋敷の問題を説いても、自ら片付けることは困難です。
もし自身でなんとか状況を脱したいと思うのであれば、何よりも先に専門医に相談することが先決です。
可能であれば保健福祉局などで、受けられる支援やサポートがないかなども相談しましょう。
自身で片付けたり身なりをきれいにしようという思いや気力がわいてこないのが、セルフネグレクトの大きな特徴です。
本来あるべき生活を送れるようにするためには、周囲のサポートが必要不可欠となります。
ただしサポートがある場合でも、一緒に片付けるというのはかなり難しい状況にあります。
まずは健全で衛生的な部屋を取り戻すため、ゴミ屋敷片付け業者などに片付けの相談をし、すっかりきれいにしてもらう方法も検討しましょう。
おすすめのゴミ屋敷片付け業者はこちら
ゴミ屋敷片付け費用の相場は、以下が参考になります。
ゴミ屋敷の片付けは「不用品回収なんでも回収団」ご相談を
「不用品なんでも回収団」はセルフネグレクトによるゴミ屋敷の片付けにも対応可能です。
どんな状態のお部屋でも丁寧に対応。お住まいの方やご家族に対しても、最大の配慮をして作業を行います。
ご近所への対応もしっかりと致しますので、プライバシーの保護などの点でも安心です。
ゴミ屋敷の片付け問題でお悩みの際は、「不用品なんでも回収団」へご相談ください。
ご相談や事前お見積りは完全無料!安心してご依頼いただけます。